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【書評】人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

実力社会

誰もが疑問を抱きつつも、信じている社会のあり方について科学的にメスを入れていったのがこの本だ。

すっかり心理学オタクになった私だが、ここまで「ハロー効果」について深掘りしてくれる本に出会うのは初めてだったので、めちゃくちゃ楽しめました。

内容云々より、まず読みやすさが尋常じゃない。

まぁこんな話は今に始まったことではないのだが、この本では「なぜできるように見せる奴」の方が評価されるのかを、心理学の観点から論理的に説明している。

しかも素人にわかりやすいように、絵や第三者の意見などを踏まえて。
さすが、超大物ブロガーと頭が上がらない。

ライター・ブロガーをかじった経験があるからこそ、この本のすごさを理解することができた。

これは、「人に何かを説明する」という観点で見ると、非常にエッセンスの詰まった本にもなっている。

他人に自分を評価させたいなら、「人が他人を評価するメカニズム」を理解するべし

実力を高めて、誰かに評価されたい!

そう思った時に私たちは子供の頃から実力を上げることだけを教え込まれてきた。

テストの点数を上げること、より早いタイムで走ること。
数字を出すことで、先生の評価・親の評価を上げることが当たり前だと教え込まれてきた。

しかし、社会に出るとその評価方法は全く変わってしまう。

これについては、本書の中で出てくる「ハロー効果」で説明されている。

私の解釈では、その環境で最も強い印象が正であるか負であるかによって、その人の全体のステータスが推し測られてしまうということだ。

例えば、新しい職場での最初の仕事で大ミスを犯してしまうと、そのあとは、「あいつはやらかす奴だ」というイメージで見られてしまう。

逆に、大成功を収めると、「あいつは次もやってくれるだろう」というイメージをもたれる。
もちろん次にミスをしたとしても、「今回は調子が悪かったのかな?」と思われる。

つまり、最初に与える印象や、最も強く与える印象が負にならないようにしっかりと気をつければ大体の評価はされるのではないかということだ。

これは第一印象でその人の人柄をほとんど決めてしまう現象にも似ている。
だからこそ、他人とのファーストコンタクトには最も気をつけなければならない。

感情ヒューリスティックの自覚

感情ヒューリスティックとは、「大きなメリットを感じるものほど、そのデメリットを感じずらいということ」

例えば転職にしたいという気持ちが強くなれば強くなるほど、転職に対するメリットは大きく感じるし、デメリットはより少なく感じるということだ。

今振り返ると、私が学校教員を退職しフリーランスを目指した時は完全に感情ヒューリスティックに振り回されていたことがわかる。

「若いうちにフリーランスになる方が、歳をとって自分の仕事に疑問を持つよりいい」

「今フリーランスになっても、この年齢ならいつでも教師に戻ることができる」

自分の選択が間違っていないという証拠をたくさん見つけては、転職という行動に結びつけるように考えていた。

もし、あの時感情ヒューリスティックの存在を知っていたら私は行動していなかったのだろうか?
いや、そんなことはない。

本書でも語られているが、感情ヒューリスティックは感知することができても、否定することはできない。

大事なのは、人間は感情ヒューリスティックに左右されて物事を判断すると、理解しておくことだ。

誰もが自分で判断したつもりになっている。

最近YouTubeを見ているだけでも、GoogleやYouTubeの検索ワードを参考に最適なCMが流されるようになっている。

「めんどくせぇな」程度にしか思わないだろうが、CMが流れるたびに、目に、耳に、あなたに意識させたい行動が植えつけられているのだ。

例えば、転職のCMがよく流れるとして、開始5秒以内に「転職」という言葉が発音されるとする。
あなたはCMが流れるたびに「転職」というキーワードを頭の中に植えつけられるのだ。

あなたが意識していなくても、脳の中には「転職」というワードが度々想起されることになり、頻繁に思い出すようになる。
サブリミナル効果の一部なのかな?

そんな感じで、人間は自分で判断した気になっていても結局は何かに誘導されていることが多い。

帰りの電車でビールの広告を見たから、帰りにビールを買って帰る。

カレーの匂いがしたから、カレーが食べたくなってしまう。

意識していなくても、人間は何かに流されているのだ。

本書にもあるが、大事なのはそれに抗おうとしないことだ。

人間はそういった性質があることを理解して、その上で自分を、人間をどうコントールするかが大事なことだ。

例えば、ダイエットをしているなら、意識的に飲食店の多い道を通らないとか。

ゲームしている時間がもったいないと感じるのなら、ゲームを取りにくい押入れにしまうとか。

自分をコントロールするために環境を、世界を作り上げていくことが大切だ。
環境を作り上げることは、自分の意思でできるからである。

人間をコントロールするのは難しいが、わかっていることも少なからずある

自分を思い通りに動かしたり、他人を思い通りに動かすことはできない。

しかし、ちょっとしたテクニックを使うだけで、理想に近ずくことはできる。

そのためにどんな知識が必要か。
それを知るために最初に読む本こそこの本なのではないだろうか?

この本を読んだ後、きっと読者は他の心理学についても知りたくなるとだろう。